第１５回
言語音声の発達
言語聴覚士のための音声学
第１５回
言語音声の発達
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言語音の知覚の発達 |
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初期の発声行動の発達 |
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一語発話期の構音と音韻の発達 |
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正常とされる構音と音韻の発達 |
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復習テスト |
1．言語音の知覚の発達
ほとんどの子どもは、４歳から６歳頃に大人と同じ構音パターンを習得するんだ。
小学校に入る前にだいたいの子が大人とおんなじように話してるってことだね。
そう、そう。
でも、個人差が大っきいから、みんなが同じってわけじゃない。
構音完成の時期が就学後でも、慌てないで！
特別なトレーニングなしでも、正常構音を獲得する場合もあるからね。
で、大切なこと！
言語臨床で、どんな場合が正常範囲で、どんな場合は構音障害かを判断するにはね。。。、
まずは正常な音韻・構音の獲得について知ること！
それはそうだ。うん、うん、何事も基本、基本！
今回は最終回！
言語音の知覚や生成、音韻意識の発達についてみていくよ。
つまり、こどもが「ことば」をどう聞いているか、どう発音するか。
ただの音まねじゃなく「ことば」として話してるかについてだね。
ピンポーン！大正解！ すばらしい。 じゃあいってみよう！
１．言語音の知覚の発達的変化
子どもは、有意味語（意味がある単語）使う前から、人間の声を「ことば」として処理する能力を持っている！
音を弁別（他の音と区別すること）して同定（この音だ！って単独で分かること）することは、乳児でもかなりできるんだって。
へ～！すごいね。
でね、１歳前に、母語に適した音声知覚の基礎を獲得してるんだって。
1) 言語音とそれ以外の音の弁別
新生児は、男の人よりも女の人の声をよく聞いている。
さらにその中でもお母さんの声により反応するんだって。
やっぱり、ママは強いんだ！（笑） パパかわいそう。
それから、母語だけじゃなくて他の言語もそうなんだけど、おもしろいことがある！
新生児は、大人の話している音素や音節や単語の切れ目に合わせて身体を動かす。
フリフリって（笑）？
でも、不思議なことにタッピング（ものをたたいてリズムを取ること）とかの物理音には反応しない。
赤ちゃんが言語音とそれ以外の音を聞き分けているってことかもね。
「ことば」は他の音と違うってことなんだ。
すっご～い！ 赤ちゃんってすごいね。 めっちゃ感動！
2) 言語音の知覚
言語音を知覚には、「連続する言語音の流れを個別の音素としてラベル化する」ことが重要なんだって。
え～ん。もっと簡単に言って！ まったく分からないよう。
ごめん、ごめん。じゃ、これで分かるかな？
誰かが話している音声ってポーズが入らないと音としてつながってるよね。
うん。
それを、言われた順番に、最初に[ ]、次に[ ]、その次に[ ]みたいに切り分けて。。。
全体で[ ]って言ってるって分かるってことなんだ。
今度はなんとなく分かった気がする。
０歳前半にはすべての言語で示差的特徴のカテゴリー知覚が可能なんだ。
おっと、ストップ！ おいてかないで。。。
えっと、「示差的特徴」ってたしかこの前習ったよね。
ある音が他の音とどんな風に違うってことを説明する時の特徴リスト。
あっ、ちょっと思い出した。
で、「カテゴリー知覚」って？
２種類の音（つまりそれぞれ音素っていう音声の集合）があるとすると、
その２つの集合を間違えずに聞き分けられるってことだよ。
それがカテゴリーをきちんと聞き分けられるってこと？
そうだね。
えっと、とっても聞きづらいんだけど、もしかして、ひょっとすると、ぼくも昔は英語が分かったのかな？
たぶんね。
なんで今、話せないんだろう。 素朴な疑問。
忘れちゃったのかなあ？
初語が近づくと、母語の音韻体系に合ったカテゴリー知覚を行うようになるんだ。
母語を話すためにいらない区別は忘れちゃうってこと？
うん。
反対に忘れなかったら、大変なことになる。
えっ、どうして？
だって、考えみてごらん。他の言語で区別しているものを全部気にしてたら頭がパンクしちゃう。
そうだよね～。立派な日本語話者になるためには英語の音を区別できなくなったのはしょうがない。
多くの言語を話せたらそれにこしたことないけど、全部中途半端だったらもっと大変だもんね。
そっか。納得。
立派な日本語母語話者になれたんだもの。エヘン。ぼくって偉い？
偉い！偉い！
４ヶ月児が有声・無声をカテゴリー知覚できるって報告もあるよ。
１カ月児と４カ月児に、成人にはまず、/pa/（または/ba/）と聞こえる合成音を、２分後に別の
VOTの合成音を聞かせたんだって。
VOTって、あっ破裂音の時にやったよね。たしか。
そう、そう。覚えてる。
（ＶＯＴについて復習）
１ヶ月児にもやってみたけど、４ヶ月児ほど反応は明らかじゃなかった。
１ヶ月児は、音韻対立じゃなくて音響的変化だけに反応したのかもしれないね。
まとめると、人間は生まれた時は、いろんな言語の音素の違いを感じることができる。
で、所属する社会の音韻体系にない音素も聞き分けている。
有声と無声については、グアテマラで乳児（4ヶ月～6ヶ月）の音声パターンに対する心搏数の変化の実験がある。
/ba/と/pa/の境界が英語とは違うスペイン語環境の乳児が、英語音にも反応した！
母語にない音韻対立も弁別してるって証拠だね。
そうそう。
母語にはない対立を感じる力は大きくなると消えちゃうんだ。
で、母語の音韻体系向きの音声知覚をするようになる。
母音は６ヶ月頃、子音は10ヶ月頃、母語にない音の対立の弁別能力が低下し。。。
母語の音韻体系向きになっちゃう。
こんな研究もあるよ。
成人英語話者、成人ヒンドゥー語話者、英語圏の７カ月児に
ヒンドゥー語にはあるけど、英語にはない２音の対立が分かるか調べた。
乳児は12人中11名が２音の相違を知覚。
成人ヒンドゥー語話者も全員が正しく反応。
でも、成人英語話者は10名中１名しか変化を知覚できなかった。
でね、でね。
２音の弁別が可能だった乳児も１歳の時には弁別ができなくなった！
えっ、もうできなくなっちゃうの！残念！
まだまだあるよ。
[r]と[l]は日本語では/r/の異音だったよね。
つまり、大人には弁別が難しいんだ。
うん。ぼくにも難しい！
でも、日本語の音韻習得前の乳児は、[r]と[l]を弁別することができるんだって。
うっ～。 ぼくにはできないのに。。。
６ヶ月児は[r]と[l]の弁別できたけど、10ヶ月児は弁別できなかった。
日本とアメリカの乳児の[ra]と[la]の弁別能力を比べたところ、６～８ヶ月児では大きな違いがなかった。
でも、10～11ヶ月児では日本人だけが弁別能力が下がったんだ。
このへんが分かれ目なんだね。
まあね。
日本語が母語の赤ちゃんは、10ヶ月頃に日本語では区別していない[r]と[l]の弁別ができなくなるんだ。
次は動物の話。
特定の音対立を感じる力は、人間だけじゃなくて、音声をコミュニケーション手段としないチンチラ、リーザス猿にもあるんだって。
捕食動物がいる（他の動物に食べられちゃう危険性のある）テキサスのニホンザルは、警戒音と発情音にカテゴリー知覚をする。
捕食動物がほとんどいない嵐山のニホンザルはその弁別が難しい。
言語能力のもとの生理学・解剖学的能力は人間だけじゃないけど、コミュニケーション能力が
すべて合わさった形で集まっているのが他の動物とは違うんだ。
話しことばの音声のために特別ってわけじゃないけど、乳児が音声の同定や弁別に役立つ能力を沢山持ってることは確かだよね。
そうだね。
２～３ヶ月頃には、破裂音 対 鼻音とか、有声破裂音 対 無声破裂音とか、音の対立の一部だって弁別できる。
口唇の動きの違い（/pa/と/?a/）や舌の高さと位置（/a/と/i/）とか、いろいろな面から分かるんだって。
でも、摩擦音間の区別とか、多音節の発話に埋め込まれた音の対立とかは、弁別できるまでに時間がかかる。
初期に注意を向ける手がかりは韻律構造（ストレス、リズム、イントネーションなど）だ。
赤ちゃんは、CDS(Child Directed Speech）という乳幼児への特別な話しかけを好むんだって。
乳児期のCDSへの選好は３段階。
①初期は無条件にCDSを選ぶ。
②６ヶ月～1０ヶ月頃には逆に対成人音声を好むようになる。
③その後再びCDSを選ぶようになる
初期に認められるのはCDSへの普遍的な選好。
母語の韻律構造に合わせようとする時期に低下し、ことばを言語信号としてとらえられるとCDSへの選好が高くなるんだ。
CDSへの選好は、音韻対立、音韻系列、節、句、語などの知覚につながっていくんだ。
２ 言語音の産生の発達的変化
1) 声道の発達的変化
ひとって音声知覚が、乳児期から優れていることは分かったよね。
生成についても、乳児期に母語以外の音をも出すことができるんだって。
でも、赤ちゃんの声道って、大人とは構造が違うから、意図的に特定の音を出すことは難しい。
大きくなると、意図的に音を出せるようになって、違う音を連結することもできるようになる。
新生児の喉頭蓋は軟口蓋に接していて、成長すると喉頭は下っていく。
乳児期の声道は、前後径に対し咽頭から喉頭までの距離が成人より短い。
（イラスト）
あと、鼻咽腔の深さがとっても浅いから、２ヶ月頃までの声は鼻音化してる。
へ～。 そういえば赤ちゃんって鼻声だね。
鼻音化しない声が増えるのは軟口蓋と喉頭蓋が十分に離れるようになってからだよ。
乳児期初期、舌は口腔全体にひろがってるから、口腔の前の方にあるようにみえる。
（イラスト）
この時期、舌は主として前後運動をするよ。
大きくなると徐々に舌の可動域が増え、様々な語音が出せるようになる。
舌を動かす速度も増加する。
幼児期でも成人に比べて舌の運動速度は遅いんだ。
個々の語音を出すための時間や、次の音への移動時間もかかる。
だから、構音の正確さも大人ほどじゃない。
2）前言語期の発声行動の発達
有意味語を出す前にも、様々な発声が観察されるよ。
最初の声は「産声」（うぶごえ）と呼ばれる。
これは、外界の空気を吸ったあとに出る生理的な音なんだ。
その後、不快や苦痛があると、身体全体の緊張は高いけど変化は乏しい「叫喚声（叫声）」を出す。
１ヶ月頃、リラックスした状態で出る「非叫喚声」が混じり始める。
非叫喚声が多くなる喃語期のあと、有意味語が出るようになるんだ。
次は、有意味語が出る前の発声の発達をみていこう。
Oller(1980)さんは生後１年間の発声を、
①発声期
②クーイング期
③拡大期
④規範的喃語（基準喃語）期
⑤多様化した喃語期
の５段階に分けた。
じゃ、これをもとに発声の変化をみてみよう。
各段階の目安の月齢が書いてあるけど、これはその発声が主に現れる時期なんだ。
次の段階で、前の段階の発声が完全になくなるんじゃなく、前後の月齢でもその発声があることに注意！
発声の発達の分類は一つじゃなくて、いくつかあるよ。
同時期に数種類の発声が重なるので、どこで分けるか研究者よって考えが違うからなんだ。
Oller先生だって、あとで分類方法を少し変えてるんだ。
第１段階：発声期；０～１ヶ月
主に不快や苦痛に伴って反射的に出される叫喚声が観察される時期。
同時期に、非叫喚声（緊張が高くない状態で出される反射的でない声）が出ることもある。
声帯振動はしているけど、口をほとんど開けないから、声道の共鳴が不十分な母音に似た音声が出る。
咽頭と喉頭の距離が短く、音声は鼻音化してる。
でも、共鳴が十分な母音様音声が発せられたり次の段階で主として発せられるクーイングが浮動的に観察されることもあるんだ。
第２段階：クーイング期；２～３ヶ月
クーイング（またはグーイング）は、共鳴が不十分な奥舌母音のような音声と一緒に軟口蓋音子音みたいな音声が出る。
有意味語を出す時の軟口蓋音とは違うけど、似ているからクークー発声とも言うんだ。
CV音節のリズムやタイミングは安定してない。
声道の共鳴は不十分なまま。
舌の可動性が増え、発声時に声道の閉鎖と開放ができるようになる。
第３段階：拡大（拡張）期；４～６ヶ月
喉頭が下って鼻咽腔と離れるので、鼻音化しない声が出せるようになる。
発声と構音のメカニズムをコントロールできるようになる。
母音みたいな音声、子音みたいな音声、高い声、低い声、大きな声、囁き声、両唇を振動させた音、
呼気－吸気音など、様々な音声を出せるようになる。
この時期には境界的喃語が観られるけど、CV音節の規則性は認められないから、基準喃語とは違う。
また、上述の音の出現順序も一定してない。
この頃、発声の自発性が増し、１人で「音遊び」をすることがある。
第４段階：基準喃語（規範的喃語）期；６～８ヶ月
[bababa]、[mammammammam]みたいに、成人同様のCV音節の反復が観られる。
意味とは無関係で、まだことばじゃないけど、親には、子どもが話し始めたように見える。
子音は、[p]、[b]が多く、[?]、[m]、[n]、[j]、[w]、[h]もよく観察される。
母音では，[?]、[e]、[a]、[a]、[?]、[?]など、半狭母音、広母音、前舌母音、中舌母音が多い。
聴覚障害児は、拡張期までは健聴児と同じだけど、基準喃語は観察されない。
このことから、基準喃語には聴覚的フィードバックが大切と言われている。
第５段階：多様化した（非重複性の）喃語期；９～１２ヶ月
[bab?]、[bawa] のように、反復されるCV音節の子音や母音が違って、様々な子音や母音が使用されるようになる。
大人の発話に似たピッチ変化やリズムが加わって、意味はないが、まるで何かを話しているかのように聞こえる。
「多様化した喃語」は基準喃語と同じ頃に出現する。
音韻は、喃語は母語とは無関係だと言われている。
スペイン語と英語が母語の子供の喃語を比較した研究では、子音的・母音的音声ともにとても似ていた。
一方、11ヶ月頃になると音の出現率に母語の影響が見られるという説もある。
たとえば、閉鎖音が多い英語圏の乳児は、フランス語圏の乳児よりも閉鎖音が多い。
でも抑揚は、喃語は母語の影響を受けるみたいなんだ。
3) 一語発話期の構音／音韻の発達
1970年代頃までは、喃語と初語が無関係だとされてきた。
でも最近は、喃語と初語が音韻的に似ていると言われている。
喃語は初語の後もしばらく観られる。
有意味語が50語程度の時期までに出る音は、破裂音が最も多く、破裂音と摩擦音がこれに続く。
多くの言語で、子音と母音の対立はCV音節という形で習得される。
言語に関係なく、口唇音と中舌母音、歯茎音と前舌母音、軟口蓋音と後舌母音の結合が多い。
でも、その出現頻度は母語の影響を受ける。
日本語の子音は、
構音位置は、両唇音・歯茎音。構音方法は破裂音、鼻音、破擦音が多い。
初語期ではC:CV型の頻度が高く、[m]が多い。
語彙が10語程度の時期はCVCV型が多くなり、[b、m、n、p]が増す。
30語程度の時期は、CV:CV型が中心。
[k、?、t、m、b]が多く、構音点が後に移動する。
50語程度では、喃語は減少。個人差が増大する。
そして、語全体のパタンが学習される。
語彙が爆発的に増えると、徐々に分節音の学習が進み、音韻の生成が再体制化される。
4) 後期の構音／音韻の発達
構音習得は個人差が大きい。
完成時期に個人差があるだけじゃなくて。。。
音の出現順序、特定の語音の初出時期、安定して使用されるまでの期間、音の出現順序とかも違うんだ。
子どものおよそ９割は、５～６歳頃までに正常構音が出来る。
でも、全体発達の経過、始語期、多語文になった時期、言語環境等によって個人差が出てくるんだ。
つまり、正常範囲には幅があるってことだね。
そう。
これまでの調査ではね。。。
対象児の年齢区分、調査に用いた構音検査の構成、語音の語内位置、通過基準の設定、対象児の社会的・文化的背景、
縦断的研究か横断的研究とか、調査方法の違いで結果は違う。
でも、特定の語音や音群のおよその習得年齢とか、個人差を超えた順序は分かっている。
子音と母音の完成時期を比較すると、母音の方が先に実用的に使えるようになる。
１，２歳は、５母音が明確じゃないけど、３歳頃には、全母音の明瞭度が80％以上となる。
母音の獲得順序は、
/a/→/i/･/u/→/e/･/o/という母音の有標性の順と同じだよ。
まず中舌母音、次に前舌母音・後舌母音が分かれる。
[a]は比較的早く明瞭で、１歳代で発語明瞭度が90％を超える。
幼児期の声道（共鳴腔）の形態は成人とは違って、明瞭度が実用レベルでも、音響的には成人と同じじゃない。
母音が音響的に成人と同じになるのは９歳頃だ。
１歳１カ月から４歳迄の幼児の日常会話の縦断的研究で、子音の習得について次の３点が分かっている。
①早くから発せられ、早期に完成する音群ａと、２歳頃から出現して徐々に完成に近づく音群ｂがある。
音群ａ：[p、 b、 m、 t、 d、 n、 k、 ɡ、 w、 ʧ、 ʤ]
音群ｂ：[h、 ҫ、 ɸ、 ɾ、 s、 ʃ、 ʦ、 ʣ]
②音の出現時期、正発率増加などの構音完成の経過は、４歳以前は個人差が大きい。
③正しい音の使用は、初発以降浮動的で、正発率は変動つつも徐々に増加し、完成する。
音群ｂの[?]、[s]は、両方とも４歳で完成していない子供がいて、習得経過はかなり違う。
[?]の初出は１歳３ヶ月～２歳３ヶ月、完成は２歳０ヶ月～４歳以上。
正発率は急激に増えず、起伏に富んで変化する。
[s]の初出は１歳５ヶ月～２歳９ヶ月。完成は３歳０ヶ月～４歳以上。正発率の推移は[?]と
比較すると完成まで漸増している。
じゃあ、横断的研究と比べてみよう！
[s，?，?，?]の習得が最も遅く、[?]がこれに次ぐ点で共通している。
両唇音[p、b、m]，半母音[j]は、３歳台までに確実になる。
軟口蓋破裂音[k、?]、歯茎破裂音・鼻音[t、d、n]、後部歯茎鼻音[?]、後部歯茎破擦音[?、?]、声門摩擦音[h]、
硬口蓋摩擦音[?]、両唇摩擦音[?]、半母音[w]は、４歳代までにほぼ習得する。
5) 発達途上に観察される構音の誤り
正常構音が安定するまでは、省略、置換、歪みなどの構音の誤りが観られる。
「省略」は、/kami/を[ami]とするなど、子音や音節の省略。ある語音が発声されないということ。
「置換」は、/sakana/を[?akana]とするなど、日本語の他の語音に置き換える誤り。
正常構音の獲得で見られる「歪み」は、日本語の正しい音に構音が似ていて、正しい構音をしようとしていると
推測できる誤り方を言う。
その他、構音の誤りではないけど、/basu/を[ba?is?]とするなど、余分な語音を加える「付加」。
/erebe?ta?/を[ebe?e?ta?]とするなど、音の時間的配列の誤りの「倒置（転置）」がある。
「省略」は構音習得初期に出るけど、年齢とともに少なくなる。
構音習得を通して最も多く現れる誤りは「置換」。
ところで、「省略」、「置換」などの分類は、構音の誤りの現象を捉えたものなんだけど。。。
最近は、語音を出す時の誤りを音韻プロセスから系統的に解釈するようになった。
省略は「縮小プロセス」とされる。
これには、音節の脱落（語の音節が脱落し音形が縮小する）や子音の脱落などが含まれる。
/rin?o/が[?i??o]になる場合は[?]が[?]に置換しているってこと。
これは時間的に前の音が後の音に影響されて同化する「同化プロセス」とされる。
同化には，このような逆向同化の他に，/zju?su/が[?????]になってしまう、つまり後の音がの音が前の音
に影響される順向同化もあるって前にやったよね。。
「倒置」は、分節音の順序の入替だから、「音位転換」と解釈される。
音節の脱落、子音の脱落、同化、音の挿入、音位転換などは音形が完成されてない時期に出るんだ。
分節音変化のプロセスは、文脈とは無関係に特定の語音に出る。
軟口蓋音の前方化(歯音・歯茎音化)、後方化、(摩擦音，破擦音等の)破裂音化、(摩擦音の)破擦音化、
非鼻音化などのように、構音位置や構音方法についての規則性のある誤り（置換）になるんだ。
４歳以前にもあるけど、音形が確実になると出現頻度が最も高くなる。
正常構音の習得過程の誤りは、すでに習得している語音で似ている（共通の弁別素性の多い）音への置換、歪みなんだ。
だから、いわゆる幼児音（未熟構音）とされる。
たとえば、[s]は，[t]から[s]へ、[?]から[?]を経て[s]へ、あるいは、[?]から[?]を経て[s]へというように獲得される。
完成間近には[θ]に近い歪みが観察されることもある。
また、初期には、省略や[h]への置換がある。
表３に日本語子音習得でよく観察される置換のタイプがあるよ。
[p、b、 m、 j、 w、 h、 ?、 ?] の誤りは、子音の脱落がほとんどなので表には書いてない。
両唇音では、母音化、鼻音化、非鼻音化、有声化、あるいは無声化なんかもある。
３ 構音／音韻発達と音韻意識
音韻分解、音韻抽出などの音韻意識（モーラ意識）は、仮名文字の習得や発達性読み障害と関連がある。
４～５歳頃、特殊音素や拗音を除いて、音韻分解・抽出が出来るようになる。
でも、語音産生能力と音韻意識の関係についてはあまり知られていないんだ。
へ～、なんで？
音韻意識がはっきりしない３歳代にほとんどの語音が正しく発音されるからだよ。
じゃあ、幼児の音韻意識と構音能力はあんまり関係ないかもね。
でも、音形が確実になった後はあるかもしれないよ。
３～５歳児の音声産出と音韻分解のこんな実験がある。
音形が確実となる４、５歳児では、正確な構音と音韻分解能力の発達との間に関係があるんだって。
構音障害児の訓練法に、「構音位置づけ法」みたいに音韻分解抽出能力が必要なものがある。
正常な構音・音韻発達と音韻意識の関連は、構音習得の理解に必要ってことだね。
そうだね。
ということは、今後の検討課題だよね。
そういうこと。
表３ 子音 習得過程に観察される誤り
s [ [t]，[ʧ]→[ʃ]，[ʧ]→[ʦ]，[θ]に近い歪み，[h]
ʣ、 z [ [d]，[d]→[ʤ]，（[ɾ]，[j]）
ʦ [ [t]，[ʧ]
ɾ [ [d]，[j]→[d]
ʃ [ [ʧ]，[ʧ]→[ʃ]→[s]，[t]→[s]，[ʧ]→[ʦ]→[s]
ʧ [ [t]
ʤ、 ʒ [ [d]，[ɡ]
k ／ɡ [ [t]，[ʧ] ／ [d]
t ／d [ [k] ／ [ɡ]
n、 ɲ [ [ŋ]
５．復習テスト
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それでは、まとめのテストです！ |
