言語聴覚士のための音響学
第6回
音声ってどうやって出るの?
今日のポイント | |
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呼吸のしくみ |
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音源フィルター理論 |
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声道模型を鳴らしてみよう! |
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声帯がなくても声は出る! |
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復習テスト |
1.呼吸のしくみ
【ここがポイント!】 | ||||
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息をはいている時 | 息を吸っている時 | |||
胸式呼吸 | ![]() |
→ | ![]() |
ピンクの線のように 肋骨を上げることによって 胸郭の容積を増やす ↓ 息を吸い込む |
息をはいている時 | 息を吸っている時 |
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腹式呼吸 | ![]() |
→ | ![]() |
ピンクの線のように 横隔膜を上げることによって 胸郭の容積を増やす ↓ 息を吸い込む |
今回はこんな肺の模型を管に つないで使います。 肋骨は上がらないので、 「腹式呼吸モデル」です。 |
2.音声はどのように出るの? 音源フィルター理論
上智大学の荒井隆行先生の「声道模型のWabpage」も参考にしよう!
【ここがポイント!】 | |||||||
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唇の形で変化 ↑ 口腔の形で共鳴 ↑ 声帯で音源が作られる ↑ 肺からの空気 |
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音源フィルター理論とは? | |||||||
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↑ | 場所 | 決まるもの | 今回の実験で使うもの | ||||
放射特性 | ![]() |
口唇 | |||||
放射特性は影響小 | |||||||
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声道特性 | ![]() |
口腔 鼻腔 |
フォルマント周波数 声道の共鳴 [a]になるか[i]になるか |
パイプ型模型 プレート型模型 今回観るのはここ! |
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音源特性 | ![]() |
声帯 | 基本周波数 声帯振動数 声の高さ |
人工喉頭 | 人工声帯 | ||
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肺 | 肺の模型 |
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喉頭って声を出すだけじゃない! |
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下気道の保護 |
誤嚥しないように! 肺に食べ物が入らないように守ってます! |
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上肢の固定 |
重い物を持ったり,りきむ時は息を止めるよね。 |
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発声 |
もちろん声も出します(笑) |
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「喉頭原音」ってどうやって作られるの? | 声帯振動のしくみ | |||
声帯って中は固いけど、外側は粘膜でぷにゅぷにゅしてるんだ。だからこそ起こる現象! | ![]() 声帯の断面図 |
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ベルヌーイ効果って知ってる? |
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コピー用紙を2枚1cmくらい離して縦に持って、その間に息を吹き込んでみよう。紙はどうなる? | |||||
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2枚の紙が息が通ったあとにくっつくのが分かる。声帯振動もこのしくみで起こっているんだ! | |||||
まず、肺からの空気が上がってきて、 声門下の空気圧が高まります。 |
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声帯を空気が押しあけて通過します。 | ![]() |
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空気が通ったあとはベルヌーイ効果で声帯はまた閉じます。 | ![]() |
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声帯振動はこの繰り返しです。 空気のドーナツをポンポンと切っていく感じだよ。 |
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「声帯」の開きぐあいを見てみよう! | ||||
上から見た図 | |||||
声帯が開いた状態(つまり声帯外転!) 呼吸してる時や無声音を出す時。 |
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緑が甲状軟骨 ○が輪状軟骨 青が被裂軟骨 |
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声帯が閉じた状態(つまり声帯内転!) 有声音を出す時。 |
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被裂軟骨が 輪状軟骨の上 で内側に回転 |
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一部だけ開いた場合(ちょっと絵が変ですが) ささやき声などを出す時。 |
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気道と食道の関係 |
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犬やねこなどの4足の動物は気道と食道が並行です。 だから、息を吸いながら食べられます。 |
![]() 便利! |
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人間は直立歩行ができるようになったけど、 気道と食道が交差してしまいました。 だから、呼吸か食べるかどちらか片方しかできません。 ものを食べる時は気道を閉じます。 閉めそこなうと。。。むせてしまうか。。。 ひどい場合には、肺炎です。 |
![]() 不便! |
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喉頭の進化の過程を調べてみるとおもしろいよ! | ||
さてと、本番です。実際の声道模型ではこうなっている! |
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声道特性 | ![]() |
こちらが声道模型の「パイプ型」です。 下が喉頭側です。こちらから音を入れます。 以下がそれぞれから出た音です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
こちらが声道模型の「プレート型」です。真ん中 に空いた穴の大きさが違うプレートを並べて「パイ プ型」とほぼ同じ型の筒をつくります。 喉頭側に人工喉頭を当てて音を出します。 以下がそれぞれから出た音です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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音源特性 | ![]() |
人工喉頭です。しくみは電動かみそりとほぼ同じとい うことです。「喉頭原音」に近いブザー音を出してくれ ます。これを直接喉に当てて、息をちょっと止めて、 口だけ動かしてみると、その口の形の音が出せます。 |
人工の声帯の代わりの笛です。息を吹き込むと、 リードが震えて音源になります。 |
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「フォルマント」ってなあに?(その2) | |
簡単にいうと、 まず、声帯振動によって音源が作られます。 (こんな感じ→) |
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↓ | ||
次に、声道の形を変えることによって音源のうちで、共鳴する(強められる)周波数が変わってきます。 (緑の部分、これがフォルマントです) ![]() |
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サウンドスペクトログラム(よく言う「声紋」)というもので見ると「強められた高さの音」が帯に見える 以下は本物の人間(ちなみに私が録音)の「あいうえお」の例 音声ファイルはここです |
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「人はフォルマントの違いによって母音を聞き分けている」と言われてます。 主に第1フォルマントと第2フォルマントを使っている! |
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人間のフォルマント周波数はだいたいこのくらい 各母音で違っているのが分かるよね | ||
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【ちょっと実験】 | ![]() |
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「声道模型」のフォルマント周波数はこんな風になる! | ||
サムネイルをクリックすると 大きくなります ↓ |
音声ファイル | |
「パイプ型」 | [aiueo1] | |
「プレート型」 | [aiueo2] |
人間の音声と比較してみよう!
3.声帯がなくても声は出る!
「電気式人工喉頭」で声を出してみよう!
声を出さずに口の形だけ変えて「あいうえお」と言ってみよう
息を止めるとうまく出るよ
これって、実は、声帯がない方のために作られたものです。
セコム「マイボイス」(電気式人工喉頭)のHP
使用時の音声サンプルがあるので聴いてみよう!
他にも、代替手段として「食道発声」というのがあります
食道発声とは?
「銀鈴会」(食道発声の講習会や人工喉頭の講習会を行っている)のHP
「食道発声の基礎知識」
広瀬肇先生の「喉頭全摘・無喉頭音声シリーズ」のページ
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【ちょっと国試に挑戦】 |
第4回午前82 | |
母音のホルマントを決めるのはどれか。 | |
1. 声門音源波形の周期性。 2. 声道内音波の反射と干渉。 3. 口唇からの音響放射。 4. 声帯と声道壁の共振。 5. 鼻・副鼻腔内の共鳴。 |
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第6回午前70 | |
女声の音声学的特徴として誤っているのはどれか。 | |
1. 音圧の実効値が小さい。 2. 基本周波数が高い。 3. 声門開放率(OQ)が大きい。 4. 線スペクトルの間隔が広い。 5 .ホルマント周波数が高い。 |
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第7回午前71 | |
言語音の有声・無声の調節に直接関係するのはどれか。 | |
1.輪状軟骨 2.甲状軟骨 3.披裂軟骨 4.舌骨 5.胸骨 |
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第7回午前76 | |
声道の伝達特性について誤っているのはどれか。 | |
1.声道の形状について依存して変化する。 2.分岐があると極と零とが出現する。 3.放射特性に依存して変化する。 4.共鳴周波数では利得が上昇する。 5.反共鳴周波数では利得が下がる。 |
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第7回午前77 | |
声道が唇の突出によって延長したとき正しいのはどれか。 | |
1.基本周波数が低下する。 2.共鳴周波数が低下する。 3.反共鳴周波数が出現する。 4.F1が下降し、F2が上昇する。 5.F1が上昇し、F2が下降する。 |
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第7回午前78 | |
[m]の音源はどれか。 | |
1.鼻腔雑音 2.破擦音源 3.破裂音源 4.摩擦音源 5.有声音源 |
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第12回午後38 | |
唇からの音波の放射特性で正しいのはどれか。 | |
1. 高い周波数成分ほど強調される。 2. 低い周波数成分ほど強調される。 3. 低い周波数成分と高い周波数成分とが強調される。 4. 低い周波数成分と高い周波数成分とが弱められる。 5. 周波数には関係しない。 |
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第13回午前41 | |
下線部の発音で口腔内に音源をもつのはどれか。 | |
1. がっしょう(合唱) 2. ざっとう(雑踏) 3. しゅっちょう(出張) 4. はっぴょう(発表) 5. らっきょう |
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第13回午後39 | |
[w]の音源位置について正しいのはどれか。 | |
1. 口唇 2. 軟口蓋 3. 声門 4. 口唇と軟口蓋 5. 口唇と軟口蓋と声門 |
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第14回午前41 | |
柔らかい声質の基になる声門音源波形の特徴として最も適切なのはどれか。 | |
1. OQ(声門開放率)が大きい。 2. 周期が長い。 3. 振幅が大きい。 4. 声門開放時間が長い。 5 .声門閉鎖時間が長い。 |
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第14回午後39 | |
母音の声門音源はどれか。 | |
1. 声門の平均粒子速度 2. 声門の面積速度 3. 声門の体積速度 4. 声門の平均音圧 5. 声門上下の音圧差 |
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全部できたかな? |
4.復習テスト
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それでは、まとめのテストです! |