日本語音声学
第２４回
イントネーション・強調
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イントネーションとは？ |
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ポーズとフィラー |
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文構造を表すイントネーション |
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強調 |
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復習テスト |
1．イントネーション(intonation)とは？
音声の高低の変化について、前の回で「アクセント」ってのを勉強したよね。
日本語の標準語のアクセント規則も習った。
覚えてるかな？
だいたいはね。
「ちょーぶんせつてきようそ」だったよね。
今回も超分節的要素の話だっけ？
うん、前回は単語のアクセントだったよね。
そうだよ。
じゃあ、単語をつなげて、もっと長い文になったらどうなる？
単語の時と同じかな？
ちがうっていいたいんでしょ？
うふ。分かってきたね。
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実験1 単語と文 |
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文全体のピッチの変化をみてみると。。。 |
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以下のように３段階の性質を持っているといえるよ。 ①単語のアクセント ②アクセント句(Accentual Phrase) ③イントネーション句(Intonational Phrase)  上の図を参考にしてね。 まずは、単語個別のアクセントがある。 話し始めはピッチが上昇し、アクセント核のあとでの「下がり目」が大切だったね。  うん。 実際に文を発音する時には、単語よりもう少し大きいかたまりになるんだ。 これをアクセント句というよ。 でも、アクセント句の中にはアクセント核はひとつしかない。 次の文をどこで切っていうかに注意して言ってみて。 「あるひもりのなかでくまさんにであった」 「あるひ、もりのなかで、くまさんに、であった」かな？ そうそう。 アクセント句の頭はピッチが上がっているんだ。 これを句頭の上昇っていう。 これってなんかの役に立ってるの？ もちろん！聞き手にここで切れているって示してるんだ。 切れてるってどういうこと？ 音がないってこと？ 正確に言うと人が切れてるって感じることかな。 音がなくても切れてるって感じることもある。 ピッチが突然上がるとその直前で切れてるって感じるんだ。 本当は切れてなくてもね。 へ～、人の耳って不思議だね。 うん。世界の七不思議。 で、どこで切ってるの？ 区切りに「ね～」をつけると分かりやすいかな？ 「あるひね～、もりのなかでね～、くまさんにね～、であった」って？ そうそう。 でね、絶対ここで切らなくちゃいけない！ってとこと どっちでもいいってとこがある。 どういうこと？ 切らないと相手が文の構造がわからなくて意味が通じなくなるところと、 意味は同じだけど切るとこがあるんだ。 それって、アクセント句の区切りって、文の統語構造と違うこともあるってこと？ お～！統語構造って難しいことばを知ってるね。 えっへん。 じゃ、説明してみて。 簡単にいうと文の中の単語の並び方じゃなかった。 ま、これについては「３．文構造を表すイントネーション」のところで見ることにするね。 イントネーション句内では各アクセント句の高い部分は、強調されなければ自然と下 がってく。  最後は、アクセント句がいくつか集まって、「息継ぎ」をするかたまり。 つまりイントネーション句というかたまりだ。 人間は息継ぎしないとしゃべり続けられない。 あたりまえじゃん。 アトムじゃないもん。 当たり前かもしれないけど、これが結構大事だよ。 なんで？ イントネーション句の始まりはピッチが上昇して、次の息継ぎまで だんだんとピッチが落ちていくんだ。 イントネーション句内ではアクセント句の高い部分は、 強調されたりしなければ自然と下がっていく。。。 これを「ダウンステップ」(downstep)とか、 カタセシス(catathesis)って言う。 で、息継ぎをするとまたピッチが上がってから下がる。 この繰り返しだよ。 へ～、おもしろい！  人は呼吸をしないとしゃべれないよね。 まあ、そうだよね。 息継ぎは必須だよね。 うん。しなかったら死んじゃうよ。 しゃべり続けていると肺の中の空気がだんだん減ってくよね。 で、また息継ぎ。 これに合わせてピッチが下がっていくんだ。 このことをピッチの「自然下降」(declination)っていう。 で、そのあとまた、息継ぎ。 長い文をピッチ曲線を見ながら下がらないように、 つまり自然下降がないように発音してみて。 「あるひ→、もりのなか→、くまさんに→、であった→。。。」 なんかおかしな感じぃ。。。 というか、苦しい～！ だって、空気が少なくなってるのに力んで話さないとピッチは同じに ならないんだもん。 そうだね。 自然に聞こえるためには、やっぱり微妙に下がる必要があるんだ。 というより、もっと力抜いてもいいんだよね。 そうそう。 自然下降って自分では意識してないからとっても不思議な感じだよね。 それに聞いている方は気にしてないところがまた七不思議だよね。 話し相手が、今、下がった！ほら！息継ぎしそう！なんて考えないもんね。 まったく。   |
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実験2 イントネーション句の最後のピッチ変化 |
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下線の部分だけを変化させよう！ 「おいしい」でもいいよ。 |
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話し手の意図や態度（あくまで想像）を書いてみよう！ |
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① ② ③ ④
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ところで、どんな意図を表しているかな？
う～ん。難しいね。
何かいいたいってことは感じられるんだけど。
はたして何って言われると。。。ね。
自分が考えたのが話し手の意図と同じかどうかは自信ないよ。
そうだね。
ピッチの変化が話し手の込めた気持ちに関係ありそうってことは言われているけど。
もともといろいろな要素が複雑にからみあっているんだ。
声の質だってちがってたり。。。
そうそう。
どんなに条件がそろってても勘違いされることもあるしね。
あるある。
とりあえず、句末のイントネーションを上げたり、下げたりするってこと。
それに意味があるかもね？ってところは押さえとこ。
了解！
２．ポーズとフィラー
「ポーズ」ってなんだ？
そのままだと「お休み」？
そうだね。音声の連続があって、音声が途切れて「休止」に聞こえるところ。
音がなくなっちゃうところ？
そういうこともあるね。
じゃ、そうじゃない時もあるの？
実は、音がつながってても切れて聞こえることもあるんだ。
へ～。空耳ってこと？
ある意味ね。だから休止に「聞こえる」ってとこが大切！
人によっては、「フィラー」とかもポーズの仲間にする場合もあるよ。
えっと、あの～、フィラーってなあに？
日本語では、「え～と」とか「あの～」とかのことだよ。
何かに役立っているの？
えっと、とか、その～ってあんまり言わないほうがいいと思ってた。
話したいことが見つからない時、または頭の中で考えている時に使うんだ。
えっ、あれに意味があったんだ。
ありそうって言われてるよ。
ポーズもただの休止というだけでなく、音声の連続の中でなにか意味を持っているみたいだ。
なにしろ、ポーズがいっさいなかったらとっても聞きにくい文になると思うよ。
確かに。
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実験3 ポーズなしの文 |
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やっぱり、ポーズって大事だよね。
ないと全然意味分かんないもん。
フィラーにもいろいろな機能があると言われているよ。
へ～、面白いんだね。
３．文構造を表すイントネーション
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実験4 ポーズによる文構造の表現 その１ |
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このアクセント句の区切りって文の意味とは関係ないよね。
そうだね。
つまり、あってもなくてもいいんだ。
じゃあ、次の例もみてみようね。
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実験5 ポーズによる文構造の表現 その２ |
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わあ！すごい！
ポーズってすごいんだ。
ポーズの位置を変えるだけで、２つの意味の文に言い分けられるんだね。
ま、ポーズがなくても、さっきやった句頭の上昇があれば同じ効果があるけどね。
２つの文はこんな構造になっているよ。
| （A） かわいいわたしのワンピース | （B） かわいいわたしのワンピース | ||||||||
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| かわいい | わたしのワンピース | かわいいわたしの | ワンピース | ||||||
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| わたしの | ワンピース | かわいいわたし | の | ||||||
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| わたし | の | 。。。。。 | かわいい | わたし | |||||
これなあに？
文の構造の違いを表す有名な方法。
Aは「かわいい」は「わたしのワンピース」全体にかかっている。
Bは「かわいい」のは「わたし」でワンピースじゃないのを図で表しているんだ。
へ～。
つまり、ポーズはただの「お休み」じゃないんだね。
そうなんだ。
ところで、ピッチ曲線どうなってた？
それぞれ、＃のところで切れてるよ。
あとは？
あっ！それぞれ山がふたつ～！！！
これってアクセント句ってこと？
おみごと！そうだよ。
じゃあ、全体がイントネーション句なんだ。
素晴らしい！音声学の天才かもよ。
ちょっとほめすぎ。
やっぱり？
４．強調（プロミネンス）
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実験6 強調するとどうなる？ |
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大体以下のようなピッチ曲線になったかな？ ① ② ③ 強調するところが高くなっているね。 それをプロミネンスというよ。 それ以外のところは低く、ピッチの動きが小さくなっている。 |
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【ちょっと国試に挑戦】 |
| 第6回午前73 | |
| 日本語においてアクセント句と一致することの多い文法単位はどれか。 | |
| １． 形態素 ２． 単純語 ３． 複合語 ４． 文 節 ５． 文 |
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| 第6回午前74 | |
| 日本語の超文節的特徴として適切でないのはどれか。 | |
| ａ．アクセント ｂ．声 調 ｃ．ストレス ｄ．ポーズ ｅ．イントネーション 1．ａ、ｂ 2．ａ、ｅ 3．ｂ、ｃ 4．ｃ、ｄ 5．ｄ、ｅ |
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| 第7回午前73 | |
| イントネーションの自然下降(declination)が止まるのはどこか。 | |
| 1．アクセント位置 2．文節末 3．アクセント句末 4．ポーズ位置 5．息つぎの位置 |
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| 第8回午前74 | |
| 日本語のイントネーションの基本的構成要素はどれか。 | |
| １．語 ２．文節 ３．アクセント句 ４．文 ５．談話 |
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| 第12回午前39 | |
| 共通語（東京方言）で「あおいうみをみる（青い海を見る）」を強調せずに一続きに発音したときの基本 周波数（ピッチ）曲線の概形として適切なのはどれか。 |
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| １． ２． ３． ４． ５． |
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| 全部できたかな？ |
５．復習テスト
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それでは、まとめのテストです！ |
